ピコレーザー
(ピコレーザー)

Pico Laser / Picosecond Laser

ピコ秒(1兆分の1秒)単位の超短パルスでメラニン色素を粉砕するレーザー治療。シミ・肝斑・タトゥー除去・肌質改善まで幅広く対応し、従来のQスイッチレーザーよりダウンタイムが短いのが特徴。

ピコレーザーとは

ピコレーザーは、レーザーの照射時間をピコ秒(1兆分の1秒)単位まで短縮した、新世代のシミ・肝斑治療レーザーです。従来主流だったQスイッチレーザーがナノ秒(10億分の1秒)単位で照射するのに対し、ピコレーザーはその約1000分の1という極めて短いパルスでメラニン色素にエネルギーを届けます。

パルスが短いほど、熱エネルギーよりも衝撃波(光音響効果)でメラニンを粉砕する作用が強くなり、周囲の皮膚へのダメージを最小限に抑えながら色素を破壊できます。これにより、シミ取り後のかさぶたや色素沈着のリスクが軽減され、ダウンタイムも従来より短くなりました。

作用機序

メラニン色素はレーザーの特定波長を吸収し、エネルギーを受け取ります。従来のナノ秒レーザーは「熱」でメラニンを破壊していたため、周囲の組織にも熱が伝わりやすく、炎症や色素沈着の原因になっていました。

ピコレーザーはエネルギー伝達時間が極めて短いため、熱の発生が最小限に抑えられ、代わりに衝撃波でメラニンを微細な粒子に粉砕します。粉砕された微粒子は、その後マクロファージ(免疫細胞)に貪食され、体外へ排出されていきます。

主な照射モード

ピコレーザーは、目的に応じて複数の照射モードを使い分けられるのが特徴です。同じ機器でも、設定を変えることで全く違う効果が得られます。

  • ピコスポット:濃いシミ・そばかす・タトゥーをピンポイントで照射するモード。1〜数回で除去を目指す。
  • ピコトーニング:低出力で顔全体に照射し、肝斑・くすみ・薄いシミを徐々に改善するモード。5〜10回の継続照射が一般的。
  • ピコフラクショナル(ピコフラクショナルレーザー:レンズで光を分散させ、肌に微細な空洞を作るモード。コラーゲン生成を促し、毛穴・ニキビ跡・小じわを改善する。

期待される効果

  • 老人性色素斑(いわゆるシミ)の除去
  • そばかす(雀卵斑)の改善
  • 肝斑のトーンダウン
  • くすみの改善・肌のトーンアップ
  • 毛穴の開きの改善
  • ニキビ跡(クレーター・色素沈着)の改善
  • タトゥー除去
  • 太田母斑・異所性蒙古斑などの母斑治療

ピコスポットは1回でも変化を感じやすい一方、ピコトーニングやピコフラクショナルは複数回の継続照射で効果が現れるタイプの治療です。効果の現れ方は症状・肌質・モードによって個人差があります。

代表的な機器

  • ピコウェイ(PicoWay):米国シネロン・キャンデラ社製。最短のパルス幅と複数波長で、幅広い症状に対応。
  • ピコシュア(PicoSure):米国サイノシュア社製。FDA認可の世界初のピコ秒レーザー。755nmのアレキサンドライト波長が特徴。
  • エンライトン(enLIGHTen):米国キュテラ社製。532nm/1064nmのデュアル波長で、複数の色素病変に対応。
  • ディスカバリーピコ(Discovery Pico):イタリア・クォンタシステム社製。高出力で深部色素にも対応。

機器によって波長・パルス幅・出力が異なり、得意とする症状も変わります。シミ取りに強い機器、肝斑に強い機器など特性があるため、自分の悩みに合った機器を導入しているクリニックを選ぶことが重要です。

リスク・副作用・ダウンタイム

  • 赤み・ヒリつき:照射直後〜数時間続くことが一般的
  • かさぶた:ピコスポットでは1〜2週間程度かさぶたができ、自然剥離するのを待つ必要がある
  • 炎症後色素沈着(PIH):照射後の炎症によって、一時的にシミが濃く見える場合がある(数週間〜数ヶ月で消失)
  • 水疱・瘢痕:稀に発生する重い副作用
  • 肝斑の悪化:肝斑にピコスポットを誤照射すると悪化する可能性があるため、診断が重要
  • 白斑(脱色素斑):稀にメラノサイト自体が破壊され、白く抜ける症例の報告

ピコトーニング・ピコフラクショナルはダウンタイムがほぼなく、当日からメイク可能なケースが多い一方、ピコスポットはかさぶたが取れるまでテープ保護が必要です。施術前後の紫外線対策は色素沈着予防のために必須です。

費用相場と頻度

  • ピコスポット(シミ1個あたり):5,000〜30,000円
  • ピコトーニング(顔全体1回):1〜3万円
  • ピコフラクショナル(顔全体1回):3〜8万円
  • タトゥー除去(範囲による):1〜10万円/回

ピコトーニング・ピコフラクショナルは、2〜4週間に1回のペースで5〜10回の継続照射が推奨されることが一般的です。回数券・コース料金が用意されているクリニックも多くあります。

ピコレーザーが向いている人・向いていない人

向いている人:シミやそばかすを除去したい/肝斑とそれ以外のシミが混在している/毛穴やニキビ跡も同時に改善したい/ダウンタイムを最小限にしたい/タトゥー除去をしたい

向いていない人:妊娠中・授乳中/日焼け直後の肌/単純疱疹(ヘルペス)が活動中/光線過敏症/施術部位にケロイド体質の既往がある

シミの種類によって最適な治療法が異なります。特に肝斑は誤った照射で悪化するため、医師による正確な診断のうえで治療方針を決定することが重要です。必ずカウンセリングを受け、自分の症状に合ったモード・回数を医師と相談してください。

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