切らない眼瞼下垂
(キラナイガンケンカスイ)

Non-Incision Ptosis Surgery

まぶたを切開せず、糸で挙筋腱膜を短縮することで眼瞼下垂を改善する手術。切開法と比べダウンタイムが短く、目元の眠そうな印象や見えにくさの改善を目的とする。

切らない眼瞼下垂とは

切らない眼瞼下垂(がんけんかすい)手術は、まぶたを切開せず、糸で挙筋腱膜(きょきんけんまく)を短縮固定することで眼瞼下垂を改善する方法です。埋没法と同じく結膜側から糸でアプローチするため、ダウンタイムが短く、傷跡が表に出ない点が特徴です。

眼瞼下垂とは、まぶたを上げる筋肉である挙筋(きょきん)の働きが弱まった状態を指し、目が開きにくく見えにくい、眠そうな印象になる、額のシワが深くなるなどの症状を引き起こします。先天性のものと、コンタクト長期使用や加齢による後天性のものがあります。

作用機序

切らない眼瞼下垂手術では、まぶたの裏側(結膜側)から特殊な糸で挙筋腱膜を瞼板(けんばん)に短縮固定します。これにより目を開ける力が物理的に強化され、瞼の挙上量が増加します。

切開法と異なり皮膚に傷を残さず、糸の調整によって左右差や開きの量を微調整しやすい一方、固定が糸のみのため、緩みや外れによる後戻りの可能性がある点には注意が必要です。

期待される効果

  • まぶたの開きの改善(黒目の露出量増加)
  • 眠そうな印象・三角目の改善
  • 額や眉を上げる癖の軽減
  • 肩こり・頭痛など随伴症状の軽減
  • 皮膚を切らないため傷跡が見えない
  • ダウンタイムが切開法より短い

術式・施術の選択肢

  • 結膜側挙筋前転法:糸で挙筋を瞼板に縫合/可逆性あり
  • ミュラー筋タッキング法:ミュラー筋に焦点を当てた術式/軽度〜中等度向き
  • 切らない眼瞼下垂+埋没法:二重形成と同時に行う複合術式

施術の流れ

  • カウンセリング・開瞼力の評価(MRDテスト等)
  • 局所麻酔(点眼・浸潤麻酔)
  • 結膜側から糸で挙筋短縮(30〜60分)
  • 左右差・高さの確認・微調整
  • 当日帰宅可・洗顔は翌日から

リスク・副作用・ダウンタイム

  • 腫れ・内出血(1〜2週間)
  • 左右差・過矯正・低矯正
  • 糸の緩み・後戻り(数年単位)
  • 糸の露出・脱落・感染
  • ドライアイ・閉瞼障害
  • 再手術が必要になるケース

切開法との違い

切らない眼瞼下垂と切開眼瞼下垂の選択基準は、まぶたの状態と希望によって異なります。

  • 切らない眼瞼下垂:糸固定/ダウンタイム短/可逆性あり/後戻りリスクあり
  • 切開眼瞼下垂:挙筋腱膜を直接縫合/効果が安定/ダウンタイム長/元に戻せない

軽度〜中等度の眼瞼下垂や、初めて目元に手を入れる方には切らない眼瞼下垂が選ばれやすく、重度や明確な皮膚たるみがある場合は切開法が選択されることが多くなります。

こんな方に向いている施術

  • 目が開きにくく、額や眉を上げる癖がある方
  • コンタクトレンズを長年使用しており、軽度〜中等度の眼瞼下垂が進行している方
  • 切開法のダウンタイム(2〜3週間)を取りづらい方
  • 皮膚に傷跡を残したくない方
  • 眼瞼下垂手術が初めてで、可逆性のある術式から試したい方

ただし、これらに当てはまる場合でも、最終的な適応判断は医師の診察を経て行われます。自己判断ではなく、専門医のカウンセリングで自身に適しているかを確認することが重要です。

経験豊富な医師に相談を

切らない眼瞼下垂手術は、結膜側からのアプローチによる繊細な操作が必要な術式です。挙筋の状態評価や糸の固定位置の選定には経験が大きく影響するため、眼瞼下垂手術の症例数が豊富な形成外科専門医・眼科専門医のもとで、自分の眼瞼下垂のタイプ・希望する開き方・後戻りリスクの許容度まで含めて十分なカウンセリングを受けることが、満足のいく結果につながります。

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