業界動向 出典:厚生労働省 2025年3月31日 配信

医療広告ガイドライン事例解説書 第5版が公表─SNS・動画広告の事例を大幅拡充

発信元:厚生労働省

厚生労働省は2025年3月、「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」第5版を公表した。第4版で新設されたSNS・動画広告の章をさらに拡充し、SNS投稿や動画テロップ、ハッシュタグまで含めた広告形態を詳細化。あわせて2024年3月のガイドライン改正で追加された、未承認医薬品等を用いる自由診療の限定解除要件に関する解釈例も整理されている。

厚生労働省は2025年3月、「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」の第5版を公表した。本書は医療広告ガイドラインの運用を補助する解説資料で、2024年3月公表の第4版で新設された「SNS・動画における事例」の章を、ネットパトロール事業の調査結果を踏まえて大幅に拡充した内容となっている。あわせて、2024年3月のガイドライン改正で限定解除要件に追加された未承認医薬品等の表示項目についても、運用解釈の例示が整理されている。

医療広告ガイドラインと事例解説書の役割

医療広告ガイドラインは、医療法第6条の5以下の規定に基づき、医療機関の広告において表示できる事項を限定するルール体系である。2018年6月の医療法改正により、医療機関のウェブサイトも広告規制の対象として明確に位置づけられ、誇大広告・比較優良広告・体験談・ビフォーアフター画像(不適切なもの)等が原則として禁止された。事例解説書は、ガイドライン本文だけでは判断が難しい個別事案について、適合・違反の例を示すことで現場の運用を支える位置づけにある。

一方で、患者が自ら検索して情報を求めるウェブサイト等については、一定の条件(限定解除要件)を満たすことで、原則禁止される表現の一部を例外的に表示できる仕組みが設けられている。限定解除の主な要件は、患者等が自ら求めた情報を表示するウェブサイトであること、問い合わせ先が明示されていること、自由診療については治療内容・費用・主なリスク等が明記されていること──などである。

第5版で大幅に拡充されたSNS・動画事例

第5版で最も拡充されたのは、SNS・動画における広告事例の章である。第4版(2024年3月)でこの章が新設された後、ネットパトロール事業の監視調査で収集された違反事例を踏まえて、対象となる広告形態が詳細化された。

  • 対象範囲の明確化:SNSの投稿、画像、動画のテロップ、動画音声、ハッシュタグによるタグ付け部分まで広告規制の対象として整理
  • 適切な情報提供のあり方:限定解除要件を満たすための表示位置・表示方法の例示が拡充
  • 違反類型の整理:体験談・ビフォーアフター・誇大表現がSNS・動画上でどのように現れるかを具体例で示す

厚生労働省の「医療機関ネットパトロール事業」では、2023年度の調査において、1サイトあたり平均で約5.8カ所の違反(1,098サイトで合計6,328カ所)が確認されたと報告されている。違反類型としては「広告が可能とされていない事項の広告」「誇大広告」「ビフォーアフター写真」が比較的多く、特に美容領域・歯科領域での違反指摘が多いとされている。第5版での事例拡充は、こうした実態調査の成果を運用に反映するものと位置づけられる。

背景にある2024年3月のガイドライン改正

第5版の前提として、2024年3月にガイドライン本文の一部改正が行われていた。この改正では、医療機関のウェブサイト等で禁止表現を例外的に表示できる「限定解除」の要件として、未承認医薬品等を用いる自由診療に関する新たな表示項目が追加された。海外製の未承認医薬品や医療機器を用いる美容医療などで、患者が十分な情報を得たうえで治療を選択できるようにする狙いがある。

改正で追加された主な表示項目は次のとおり。

  • 未承認医薬品等であることの明示:医薬品医療機器等法上の承認を得ていないものであることを明示
  • 入手経路:医師個人による個人輸入の場合はその旨を明記。同一の成分・性能を有する国内承認品が存在する場合でも、入手経路の明示が必要
  • 国内の承認医薬品等の有無:同等の効能・効果を有する国内承認品があるかどうか
  • 諸外国における安全性等に係る情報:海外での承認状況・副作用情報など、把握できる範囲で明示

第5版の事例解説書では、これらの表示項目を実際にどう書けばガイドラインに沿うのかについて、解釈例も整理されている。

利用者の見方

利用者の立場からは、クリニックのウェブサイトやSNSで「未承認」「個人輸入」「海外での承認状況」といった表記が明示されているかどうかが、ガイドライン遵守の一つの目安になる。これらの記載が見当たらないまま、海外名で施術や薬剤が紹介されている場合、限定解除要件を満たしていない可能性がある。

また、SNS投稿や動画コンテンツも広告規制の対象であることが明確化された以上、インフルエンサー投稿や体験談動画なども慎重に扱われるべき領域となった。情報を受け取る側としても、「広告」と「客観的な医療情報」を見分ける目線が求められる。

編集部の見解

事例解説書の第5版で、ガイドライン本文の改正(2024年3月)と、SNS・動画への適用拡張が実務レベルでつながった形と言える。行政の関心は「ウェブサイトの広告表現」から「医療機関を取り巻くあらゆる情報発信」に広がっており、インフルエンサー投稿や体験談動画も例外ではなくなりつつある。整形ラボ編集部としても、利用者が広告と中立な情報を区別できる環境づくりに貢献していきたい。

※本記事は厚生労働省の公開情報に基づき編集部がまとめたものです。具体的な広告ルールや個別事案の解釈については、厚生労働省ガイドライン本文および所管自治体の医療広告相談窓口にご確認ください。本記事は法的助言を提供するものではありません。

本記事の元情報は厚生労働省でご覧いただけます。

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