個人輸入(医薬品の)
(コジンユニュウ)

Individual Import / Personal Import

国内未承認の医薬品・医療機器を医師が個人で海外から輸入し、自由診療で使用する行為。法令上は限定的に認められるが、安全性情報の制約や副作用救済制度の対象外などのリスクがある。

個人輸入とは

個人輸入は、国内で医薬品医療機器等法(薬機法)上の承認を受けていない医薬品や医療機器を、医師が海外から個人で輸入し、自身の管理下で患者に使用する行為を指します。美容医療では、国内承認に時間がかかっている海外製の薬剤・機器を活用するために、自由診療の枠組みで広く行われています。

「個人輸入」と呼ばれますが、業として継続的に大量輸入することは認められておらず、医師が自身の診療目的で必要な範囲に限られます。手続きには厚生労働省(地方厚生局)への申請と薬監証明(輸入確認書)の取得が必要です。

仕組み

  • 医師個人による輸入:医師が自身の診療のために必要な医薬品等を海外から輸入する
  • 薬監証明の取得:地方厚生局に申請し、輸入の必要性・数量・使用目的を示して輸入確認書(薬監証明)を取得する
  • 自院での管理使用:取得した医薬品は当該医師の管理下で、自身の患者に対して使用する。他院への譲渡・販売は不可
  • 使用記録の保存:診療録への記載、使用量・使用日の管理が必要

これは「業としての輸入販売」とは区別される行為で、個別の患者の治療目的に限定して認められています。患者個人が直接海外サイトから医薬品を購入する行為もしばしば「個人輸入」と呼ばれますが、本稿で扱うのは医師による医療目的の輸入を指します。

美容医療での主な用途

  • 海外製のヒアルロン酸製剤(国内未承認のラインアップ)
  • 海外製のボツリヌス製剤
  • スキンブースター・PRP関連薬剤
  • GLP-1受容体作動薬の一部(メディカルダイエット文脈)
  • 痩身向けの脂肪溶解注射薬剤
  • 海外製の医療機器・レーザー機器

これらは国内で同等品が承認されていない、または海外で先行発売されたモデルが新しい、といった理由で個人輸入によって使用されることがあります。

利用者にとってのリスク

  • 医薬品副作用被害救済制度の対象外:国内未承認薬による健康被害は、国の救済制度の対象とならない
  • 品質・安全性情報の制約:日本の添付文書がなく、副作用情報・相互作用情報の網羅性が国内承認薬より限定的になる
  • 偽造品リスク:流通経路によっては偽造品・成分不明品が混入する可能性が指摘される
  • 保管・流通管理の品質差:輸送中の温度管理など、流通段階の品質管理が国内品ほど標準化されていないケースがある
  • 製造販売業者による情報提供がない:国内承認薬と異なり、メーカーから医療機関への副作用情報・改訂情報が直接届かない

医療広告ガイドラインでの取扱い

2024年3月の医療広告ガイドライン改正により、未承認医薬品等を用いた自由診療をウェブサイトで紹介する場合、限定解除要件として以下の事項を明示することが求められるようになりました。

  • 未承認医薬品等であることの明示
  • 入手経路(医師個人による個人輸入か、別の経路か)
  • 同等の効能・効果を持つ国内承認医薬品等の有無
  • 諸外国における安全性等に係る情報

これらの情報がクリニックのウェブサイトに記載されているかどうかは、医療機関のインフォームド・コンセント姿勢を判断する一つの目安となります。

利用者が確認したいポイント

  • 使用される薬剤が国内承認品か個人輸入品かを医師に直接確認する
  • 個人輸入品の場合、同じ効能の国内承認品があるかを聞く
  • 副作用が起きた際の対応体制(連絡先・補償・対応する医療機関)を確認する
  • 「副作用被害救済制度の対象外」である旨の説明を受けているか確認する
  • 使用される薬剤の名称・製造元・原産国の情報をもらう
  • 過去の使用実績や副作用報告について質問する

薬機法上の位置づけ

個人輸入で入手された医薬品は、国内承認を経ていないため、製造販売承認・販売名・効能効果・用法用量について公的な保証がありません。したがって、医師が個人輸入薬を使用する際は、自らの責任で安全性・有効性を判断する必要があり、患者への十分な説明(インフォームド・コンセント)が法的・倫理的に強く求められます。

また、薬機法第68条の規定により、未承認薬の効能効果に関する広告は禁止されており、ウェブサイトでの記述にも制限があります。

まとめ

個人輸入は、海外で先行する薬剤・機器を国内で使う一つの手段ですが、副作用救済制度の対象外であることや品質保証の制約など、利用者側にも理解すべきリスクが伴います。施術前に「使う薬は国内承認品か」「同等の国内承認品はあるか」「副作用が起きたらどう対応するか」を医師に確認し、納得したうえで選択することが重要です。

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