ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)
(エーディーエム)
Acquired Dermal Melanocytosis
思春期以降に頬骨・こめかみなどに左右対称に現れる、真皮層にメラニンが沈着するタイプの色素斑。肝斑と見分けがつきにくいが治療法が異なるため鑑別が重要。
ADMとは
ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)は、思春期以降に頬骨・こめかみ・額の外側・鼻に左右対称に現れる、真皮層にメラニンが沈着するタイプの色素斑です。日本人の女性に比較的多く、灰青色〜灰褐色の点状斑として見えるのが特徴です。
表皮にメラニンがある一般的なしみと違い、ADMは真皮層にメラニンがあるためターンオーバーでは消えません。肝斑と外見が似ているため誤診されやすく、鑑別診断が極めて重要です。誤って肝斑として強いレーザー治療を行うとADMでなく肝斑が悪化する可能性があります。
なぜ起こるのか
- 真皮メラノサイトの異所性存在:胎生期に皮膚に取り残されたメラノサイト
- 思春期以降のホルモン変化:休眠していた細胞が活性化
- 紫外線刺激:色味が濃く現れる誘因になる
- 遺伝的素因:家族内発症の傾向あり
- 女性に多い:男性は稀で、女性ホルモンの関与が示唆される
治療の選択肢
ADMの治療は真皮層のメラニンを破壊できるQスイッチ系レーザーまたはピコレーザーが中心です。色素吸収を狙う波長と短いパルス幅が必要なため、機種選定と出力設定が結果を左右します。
- QスイッチYAGレーザー(1064nm):真皮の色素にしっかり届く定番治療
- ピコレーザー:短いパルス幅で周辺組織への熱負荷が少ない
- QスイッチRubyレーザー(694nm):浅めのADMに用いられることがある
- 外用・内服:補助療法としてハイドロキノン・トラネキサム酸が併用される
- テスト照射:肝斑との鑑別目的で部分照射を行うクリニックもある
治療後のケアと効果実感の目安
レーザー治療後はかさぶたができるため、自然剥離まで触らず保湿と紫外線対策を徹底します。剥がしてしまうと色素沈着が残りやすいため、メイクは医師の指示に従って再開します。複数回の治療が前提なので、長期的な視点で通院することが大切です。
- 1〜2週間:かさぶたが自然剥離、一時的な赤み
- 1ヶ月:炎症後色素沈着が出ることもあるが徐々に薄れる
- 3〜6ヶ月:1回ごとに数十%程度の改善を実感する人が多い
- 5〜10回コース完了後:色味の軽減を維持しやすい状態に
リスク・注意点
- 炎症後色素沈着:治療後一時的に濃くなることがある
- 色素脱失(白斑):強い出力で起こり得る
- 瘢痕:稀に瘢痕化することがある
- 肝斑との誤診:肝斑混在型では治療設計を間違えると悪化
- 反応の個人差:思った回数で反応が出ないこともある
- 紫外線対策不足での再燃:UVで色味が戻ることがある
費用相場
1回あたり1〜5万円が目安で、範囲(部分・全体)と機種で変動します。5〜10回のコースが一般的で、コース総額は10〜40万円程度になります。ピコレーザー機種では1回単価がやや高めの設定が多いです。
同じ「ADM治療」でも機種・出力・回数で結果が大きく変わります。提示価格にテスト照射費・アフターケア・追加照射規定が含まれているかを事前に確認し、複数院で比較することが大切です。
治療を検討すべき人・経過観察でよい人
治療を検討すべき人:頬骨やこめかみに灰青色〜灰褐色の点状色素がある/一般的なしみ治療で改善しなかった/肝斑との混在で診断が難しい/メイクで隠しきれない方。
経過観察でよい場合:色味がごく薄く生活に支障がない/妊娠・授乳中などレーザー治療を控えるべき時期/コース通院の時間が確保できない時期は急がず時期を待つ選択肢もあります。
ADMは肝斑との鑑別を含めた診断が治療の出発点になります。自己判断での治療は避け、ダーモスコピーや診察経験のある経験豊富な医師のもとで、カウンセリングを通じて治療計画を相談したうえで判断してください。