業界動向 出典:厚生労働省 2025年12月12日 配信

改正医療法が公布、美容医療機関に安全管理体制の定期報告義務─公布から2年以内に施行

発信元:厚生労働省

「医療法等の一部を改正する法律」が2025年12月12日に公布された。美容を目的とした治療を行う医療機関に対し、医療安全指針の策定状況などを都道府県知事に定期報告する義務が新設される。施行は公布から2年以内に政令で定める日とされ、報告内容のうち必要な事項は公表される。保険医療機関の管理者要件にも変更が加わり、いわゆる「直美」への流出抑制も意図されている。

「医療法等の一部を改正する法律」が2025年12月5日に参議院で可決・成立し、同月12日に公布された。今回の改正では、地域医療構想の見直しや医師偏在対策とともに、美容を目的とした治療を行う医療機関に新たな定期報告義務が課されることが明記された。美容医療の安全管理体制を制度として把握・公表する仕組みが、初めて法律レベルで位置づけられたことになる。

改正の経緯

今回の改正は、2024年11月にとりまとめられた厚生労働省「美容医療の適切な実施に関する検討会」報告書を背景に持つ。同報告書では、美容医療を提供する医療機関の管理者を対象に、年1回の頻度で都道府県知事等への定期報告を求めるべきとの提言がなされていた。その内容を法律に落とし込んだものが、今回の改正医療法における新設条文となる。

改正法案は2025年2月14日に通常国会に提出された後、継続審議となり、一部修正を経て同年12月5日に成立した。公布日は同月12日であり、改正の柱の一つとして「美容医療を行う医療機関における定期報告義務等」が位置づけられている。

新設される報告義務の概要

改正医療法第6条の12の2として新設された条文では、対象となる医療機関は次のように定義された。

  • 対象:美容を目的として皮膚や歯を清潔にしたり美化したりすること、身体を整えること、体重を減ずることを目的とした医学的処置・手術・その他の治療を行う病院または診療所
  • 報告先:所在地の都道府県知事(保健所設置市・特別区の場合は当該市長・区長)
  • 報告内容:医療の安全を確保するための指針の策定状況、その他の医療の安全確保のために必要な情報として厚生労働省令で定める事項
  • 頻度:定期的(具体的な頻度は厚生労働省令で規定)
  • 公表:報告された事項のうち、医療の安全確保のために特に必要な事項として厚生労働省令で定めるものを、都道府県知事が公表

具体的な報告様式・項目・頻度は今後、政令・省令・告示で定められる。施行日は公布の日(2025年12月12日)から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日とされており、最長で2027年12月までに施行されることになる。

「直美」抑制を意図した管理者要件の変更

今回の改正には、健康保険法の改正による保険医療機関の管理者要件の新設も含まれている。これは、直美と呼ばれる、初期研修修了直後に美容医療領域へ進む若手医師の流れを抑制する狙いがある。

改正後は、保険医療機関の管理者となるための要件として、保険医であることに加えて、2年の臨床研修と保険医療機関(病院に限る)における3年以上の診療経験、合計5年間の保険診療経験が求められる。施行は2026年4月1日。「医師少数区域等」への一定の配慮も盛り込まれている。

あわせて、外来医師過多区域での新規開業についても規制が強化される。開業6か月前の届出を義務付け、地域医療への貢献の要請が可能となるなど、都心部での新規クリニック開設に一定のハードルが設けられる方向だ。

医療機関側の準備事項

定期報告義務の具体的内容は省令待ちだが、検討会報告書で示された方向性からは、次のような項目が報告対象に含まれる可能性が想定される。

  • 医療法第6条の12に基づく安全管理措置の実施状況
  • 医師の専門医資格の有無
  • 合併症や後遺症等の問題が発生した際に患者が相談できる連絡先(連携先医療機関を含む)
  • 事故防止策や医療安全研修の実施状況

2025年11月には厚生労働省が定期報告項目の検討に向けた実態調査を開始しているとされ、今後、関係団体・医療機関への調査を経て、報告様式が固まっていく流れとなる。

利用者にとっての意味

定期報告制度が動き出すと、各クリニックの安全管理体制に関する情報の一部が公表されることになる。利用者にとっては、施術を受けるクリニックを選ぶ際の判断材料が増えることが期待される。具体的に何が公表対象になるかは省令次第だが、合併症発生時の連絡先や、安全管理指針の有無といった「事前に確認したい情報」が公的にアクセス可能になる方向性が示されている。

整形ラボ編集部としては、利用者が事前にクリニックを比較・検討できる情報基盤が整う方向の動きとして、引き続き省令・告示の動向を注視していきたい。

※本記事は厚生労働省の公開情報および公表された改正法の内容に基づき編集部がまとめたものです。具体的な施行日や報告内容は、今後発出される政令・省令・告示によって確定します。詳細は厚生労働省の公表情報をご確認ください。本記事は法的助言を提供するものではありません。

本記事の元情報は厚生労働省でご覧いただけます。

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