ヒアルロン酸
(ヒアルロンサン)
Hyaluronic Acid
元来人間の体内に存在する保水成分を、シワや凹みの部分に注入してボリュームを補填する施術。ほうれい線・涙袋・唇など、世界で最も普及しているヒアルロン酸注入剤の解説。
ヒアルロン酸とは
ヒアルロン酸は、もともと人間の体内に存在する保水成分で、皮膚・関節・眼球などに多く含まれているムコ多糖類の一種です。1gで約6リットルもの水分を保持できる優れた保水力を持っています。
美容医療におけるヒアルロン酸注入は、シワ・凹み・ボリューム不足のある部位に直接注入することで、肌のハリ・ボリュームを取り戻す施術です。1990年代から使われ始め、現在では世界中の美容医療で最も普及している注入剤の一つです。
作用機序
ヒアルロン酸を皮下や真皮に注入することで、物理的にボリュームを補填し、シワや凹みを持ち上げます。同時に、ヒアルロン酸の保水作用により、注入部位の水分量が増加し、肌のハリやツヤも向上します。
注入されたヒアルロン酸は、時間の経過とともに体内で分解・吸収されていきます。製剤の架橋(クロスリンク)構造の違いにより、持続期間や使い分ける部位が異なります。
主な施術部位
- ほうれい線:法令線の凹みをふっくらと持ち上げる
- マリオネットライン:口角から下に伸びる溝を改善
- 涙袋:目元に立体感を出し、若々しい印象に
- 目の下のクマ・凹み:くぼみを補填して影を軽減
- 頬・こめかみ:失われたボリュームを復活
- 唇:唇の形を整えたり、ボリュームアップ
- あご:あごのラインを整え、横顔の印象を改善
- 鼻:鼻筋を通したり、鼻先の形を整える
- 額:額の凹みを滑らかに整える
代表的な製剤シリーズ
ジュビダーム ビスタ(Juvéderm Vista)
米Allergan社(現アッヴィ)の製剤シリーズで、日本で厚労省承認を得ている数少ないヒアルロン酸の一つ。VYCROSS技術により、なめらかな仕上がりと長期持続が特徴。
レスチレン(Restylane)
スウェーデンQ-Med社の製剤シリーズ。NASHA技術による高密度な架橋が特徴。日本でも厚労省承認製剤がある。
テオシアル(Teosyal)/ベロテロ(Belotero)
スイス・ドイツ製の高品質製剤。なめらかさと自然な仕上がりに定評。
韓国製ジェネリック
韓国製のヒアルロン酸(ニューラミス、エルラビエ等)は安価で広く使われていますが、品質や安全性は製品によって差があります。
持続期間
製剤と部位によって持続期間は大きく異なります。
- 柔らかい製剤(涙袋・唇など):6ヶ月〜1年
- 中硬度の製剤(ほうれい線・口元):1年〜1.5年
- 硬めの製剤(頬・あご・鼻):1.5年〜2年
動きの多い部位(口元、目元)は早く吸収され、骨に近い部位や動きが少ない部位は長持ちする傾向があります。
リスク・副作用
- 腫れ・赤み・内出血:施術直後〜数日続く
- しこり・凹凸:注入量や注入層が不適切な場合に発生
- チンダル現象:浅い層に注入すると皮膚が青っぽく透けて見える現象
- 血管塞栓:誤って血管内に注入されると、皮膚壊死や視力障害(最悪は失明)の重大な副作用
- 感染症:稀に注射部位に感染が起こる可能性
- 遅発性反応:数週間〜数ヶ月後に肉芽腫やアレルギー反応が出ることがある
特に血管塞栓は、目元・鼻・額への注入で起こると失明リスクがあるため、解剖学に精通した経験豊富な医師による施術が必須です。
ヒアルロニダーゼ(溶解注射)
ヒアルロン酸注入のメリットとして、ヒアルロニダーゼという酵素を注射することで、注入したヒアルロン酸を短時間で分解・除去できる点があります。仕上がりに納得できない場合や、副作用が出た場合に、元の状態に近づけることが可能です。
費用相場
- 韓国製:1cc 3万〜5万円程度
- レスチレン・テオシアル:1cc 6万〜10万円程度
- ジュビダーム ビスタ:1cc 8万〜15万円程度
- 溶解注射(ヒアルロニダーゼ):1〜3万円程度
カウンセリング時には、必ず使用製剤名を確認しましょう。同じ「ヒアルロン酸注入」でも、安価な韓国製と高品質な欧米製では仕上がりや持続性が大きく異なります。
施術の注意点
- 注入直後はマッサージを避ける(仕上がりが崩れる)
- 飲酒・激しい運動・サウナは当日避ける
- 施術後2週間程度はピーリング・レーザー治療を控える
- HIFU・サーマクールなど熱による施術は、ヒアルロン酸を分解する可能性があるため、注入後は3ヶ月以上空けるのが推奨
- 妊娠中・授乳中は施術不可